特撮と私①
小学生の作文みたいなタイトルになってしまったけれど、今日書きたいのはまさに私にとっての特撮のお話。
特撮の定義とかその辺はあんまり考えたことがないので、私はいつも「特撮」と言ってしまうのだけど、もう少し厳密に言うと、いわゆる特撮ヒーローもの、と呼ばれるものが私は好きだ。
その特撮ヒーローものと出会った最初の記憶について、どれが本当の最初の記憶なのかはわからないけれど、はっきり覚えているのは「大戦隊ゴーグルファイブ」。
1982年の2月から始まった1年間の番組で、今も続く「スーパー戦隊シリーズ」と呼ばれる、いわゆる「戦隊もの」の初期のころの作品だ。
当時はまだスーパー戦隊シリーズなんて呼び方はなくて、戦隊もの、という呼び方すら定着していたのかよく分からない。
世間的には「ゴレンジャーみたいなやつ」くらいの認識だったんじゃないだろうか。
というよりも、いまだに私くらいの年齢より上の世代は、そういう認識の人も多いかもしれない。
「ゴーグルファイブ」放送当時、私は5歳だった。
ひとりっ子の私は、あまり家で特撮ヒーロー番組を見ていたという記憶はない。
どこで見ていたのかと言うと、週末によく泊まりに行っていた祖父母の家だ。
週末になると祖父母の家に私たち「孫」はよく泊まりに行っていた。
私の2歳下のいとこが男の子で、彼を中心に見ていたんだったと思う。
当時の「戦隊もの」は土曜の夕方6時から放送されていた。
ゴーグルファイブで具体的にお話を覚えているのは少ないが、部分的なシーンはいくつか覚えている。
何より、ゴーグルピンクの桃園ミキが武器として使う、新体操のリボンに憧れた。
おばあちゃんに借りた裁縫用の長いものさしとか孫の手の先にリボンを結んで、クルクル回した。
全然テレビの中のように綺麗には回らなかったけれど、それでも飽きずにひたすらクルクル回した。
当時の自分はおそらくそこまで意識していなかったと思うけど、桃園ミキを演じた大川めぐみさんはすごい美人だ。今画像を見てもハッとするくらい美人で可愛い。
多分、私の特撮ヒーローものに対する憧れの原体験はここにある気がする。
美人で可憐。そういう人は「守られるもの」だった。
当時5歳だった私が言うのもおかしいけど、私の中では美人で可憐な女性は男のヒーローが守るべき存在であって、戦う存在ではなかった。
でも、ゴーグルピンクは違う。
美人で可憐で、でも強い。
守られる存在ではなく、人を守ることができる。
こんなカッコイイものはないと思った(気がする)。
力では男性と対等とはいかなくても、その分努力で埋められる部分がある。
心は清らかで優しくて強い。
どれも私には手に入れられなかったけれど、そういう女性像への憧れみたいなものは多分ゴーグルファイブの桃園ミキが原点だ。
ただ一応言っておきたいのは、「ヒーローに守られる女性」を描いた作品や思考にケチをつけたいわけでは一切なく、むしろそういうものも好きで、ここにフェミニズム的な話を持ち込むつもりはない。
ただの憧れであり、きっかけであり、好みの問題でしかない。
あと、もう一つ衝撃的だったのは「ブラック」の存在だ。
黒というのはどちらかと悪者のイメージで、正義のヒーローに「ブラック」がいるのはなかなかの衝撃だった。
ただ、それがまたかっこいいのだ。
レッドのまっすぐな正義感、熱血さ、リーダーシップ、そういうものとはまた違った、クールでちょっとナナメな孤高さはまた子供ながらに惹かれるものがあった。
ゴーグルファイブが特撮ヒーローものについての「最初の記憶」なのかと言うと、その一つ前の作品「太陽戦隊サンバルカン」もうっすら覚えてるし、これはこれで男3人だけってカッコイイ…と子供ながらに思った。
さらにその一つ前、「電子戦隊デンジマン」でデンジピンクの名前が桃井あきらなのを「女の子なのに名前が『あきら』なの!?」と思った記憶もぼんやりあるので、私の最初の記憶はこの辺かもしれない。
思えば「宇宙刑事ギャバン」もゴーグルファイブくらいの時期で、私は祖父母の家で日曜に朝食を食べながら見ていたような気がするのだけど、調べたら「金曜19時30分~20時」と書いてあって、私が何を見ていたのかは謎である。
地方局だからそういう時間に放送していたのか、再放送を見た記憶なのか、違うものを記憶違いしているのか、そもそも見ていなかったのに誰かに記憶を書き換えられたのか。
ちなみに仮面ライダーは私が子供のころはほぼ空白期で、その数年後にさっきの2歳下のいとこが仮面ライダー BLACK(RXだったかもしれない)にハマっていた記憶はあるものの、私自身はほとんど番組を見た記憶がない。
私の中でファースト仮面ライダーはとんねるずのノリさんがコントでやっていた「仮面ノリダー」で(笑)、ホンモノは「ジョッカー」ではなく「ショッカー」が正しいのだと知ったときは驚いた。
さらに年下(5~6歳下)の別のいとこ(男)は、よくレンタルビデオ店で借りたゴジラやウルトラマンを見ていた。
ウルトラマンはレンタルビデオではなくリアルタイムだったかもしれない。
今思えばいい環境にいたと思うのだけど、そのころには私はもう小学校高学年になっていて、「女の子が(しかも小学校高学年になって)特撮ものが好きだなんておかしい(と思われるはず)」という感覚があった。なのであまり興味のないふりをしていた。
当時、女子たちの中で大人気だったジャニーズの光GENJIに私もハマってるふりをしたけれど、正直言うとそんなにはハマっていなかった。光GENJIの誰が好きかという話題も、わりと適当だったからコロコロ変わった。
それでも超獣戦隊ライブマン(1988年)とかはわりと覚えていて、興味のないふりをしつつもそれなりに見ていたのだと思うけど、その次の「高速戦隊ターボレンジャー」の途中から放送時間が金曜に変更されたこと、私が中学生になって塾通いが始まり祖父母の家にお泊りすることがほとんどなくなったことなどが重なり、「戦隊もの」から遠ざかった。
それで少し「普通の女の子」らしくなれた気がして自分にホッとしていた部分もあった。
結局その数年後にはまた「戦隊もの」に衝撃の再会をしてしまうのだけれど、その話はまた今度書くつもりでいる。